【ソムリエ目線で見る!】ショップでのワインの選び方・買い方。

こんばんは。ソムリエのサカナです。

先日行きつけの美容院でヘアカットをしている際でのお話。

今日紙袋持ってたけど何か買い物したの?

友達の誕生日なので、プレゼント用にワインを買ったんですよ。

お!さすがソムリエさんだね!
でも自分がプレゼントとかにワインを買おうと思っても、いまいちどのワインを買ったらいいのかわかんないんだよね~。ハードル高い。

確かにワインについているPopの情報だけじゃなかなか選べないですよね~。せっかく買ったワインがイメージ通りじゃなくて失敗するのも嫌ですしね。

なんて一コマがありました。ワインを少ない情報だけで選ぶのは確かに難しいなと改めて思います。

そこでサカナがソムリエとしてどのような基準でワインを選んで買っているのか、またそんなにワインに詳しくないと自覚しているであろうあなたに必要なワインの選び方について、今回はまとめてみようと思います。

ワインを買う時に見ている基本的な情報

さてワインショップにやってきました。

ずら~っと並ぶワインのボトルの形やラベルのデザインに多少の違いはあれど、どこから手を付ければよいか…となりますよね。

ワインだからというわけではなく、何事においてもそうですが、何かを選ぶためには基準となるある程度の情報が必要です。知識や経験ゼロで「どれを選べばいいのかわかりません」となるのは当然のことですよね。

アパレルショップで衣服を買うときは「見た目のデザイン」「実際の手触り」などを自分の感性に合わせて、「予算」と照らし合わせて購入するかどうかを決めるかと思います。そこに「昨今のトレンド」などが加味されることでしょう。

お菓子やお惣菜を買う時も、今まで自分が口にしてきた「似たようなお菓子やお惣菜の味わいの経験」を基に見た目や売り文句を加味して「美味しそう」と思うかどうか、「価格と見合っている」かどうかで購入を決めます。

ワインを購入する上で一番もどかしいのが「試飲できない」ということだとは思いますが、衣服などと違ってこれをやってしまうととてもコストがかかってしまうので、そこは致し方ないとご理解ください。。実際に飲めたらイージーなのは明白ですけどね。

そこで、ワインを買う前に頭に入れておいてほしいことが数点あります。

  • ワインの種類(泡、白、オレンジ、ロゼ、赤)
  • 甘口、辛口
  • 国際品種と言われる「代表的な葡萄品種の味わいの違い」
  • 予算

上記の5点だけ、ある程度頭に入っていれば基本的にワインは選べるようになってきます。

さらにもう少し突っ込んだ見方をしたい場合は、

  • 生産者の情報(葡萄の栽培方法・ワイン造りで大切にしているフィロソフィーなど)
  • ワインの醸造方法(新樽比率、熟成期間など)
  • 生産地域のテロワール
  • 原産地呼称
  • ヴィンテージ

などを見ています。

Pop情報だけではやはり限りがあるので、実際に「このワイン気になるな~」ってところまでいったらググってみて、必要なワイン情報を抽出して、その総合点が価格と見合っているのかを確認して購入に至ります。

そしてやはり普段からワインを飲み、様々なワインの味わいの経験値があると、それを基に判断できますので、手ごろな安いデイリーワインでも良いので日常的にワインに触れておくことはとても大切だと思います。

それでは一つずつ簡単に解説していきます。

ワインの種類

「ワインを選んで飲む」ときに結局何が重要なポイントで、何が心配なのか。

「自分が飲みたいなと思っている味わいを持つワインであり、かつ払った値段(以上)の価値や幸福感を感じる美味しさを持っているかどうか」

ではないでしょうか。ワインって崇高で、カッコいいイメージ。飲んでいる自分の姿にも酔える。そんな魅力を持っています。そこに「一滴一滴が愛おしくて、いつまでもこの美味しさに浸っていたい」と思えるものに出会いたいと、美味しいワインに出会ったことがある人なら思っているはずです。

そのために「味わいを変える重要な要素」については大前提として知っておかなければなりません。

それが、①ワインの種類②甘口、辛口③葡萄品種の味わいの違い、の3つです。最低限この3つだけ頭に入っていれば、他は省いても構いません。そのくらいワインの味わいを変える重要な要素なのです。

泡=スパークリングワイン

発泡性を持つワインのことですね。

フランスのシャンパーニュ地方で造られる「シャンパーニュ」が最も有名です。他にもスパークリングワインとして代表的なものは、イタリアのロンバルディア州で造られる「フランチャコルタ」やスペインのカタルーニャ州で主に造られる「カヴァ」などがあります。

スパークリングワインは基本的には「白ワインベース」「ロゼワインベース」のワインに発泡性を持たせていることが多いです。それはスパークリングワインには「シュワシュワした爽やかさ」を求めているためで、よりフレッシュさを感じる味わいを目指しているからです。(味わいの軽さという意味ではないのでご注意を。)

ただしイタリアのエミリア・ロマーニャ州で造られる「ランブルスコ」のように「赤ワインベース」のスパークリングも存在はしています。しかしながらとってもマイナーです。

スパークリングワインにおいて大切なのは、「泡の質」です。「瓶内二次発酵」「シャンパーニュ製法」という言葉を見かけた際は、一番丁寧な造り方をされているスパークリングワインで、品質は上位であると思っておいて大丈夫です。

何かのお祝いで「クオリティの高い美味しいスパークリングワインで、華やかさと高級感を演出したい」と思ってワインを購入する際に最も選択肢に上がりやすいのが「シャンパーニュ製法で造られたスパークリングワイン」です。

グラスに注いだ際に、細かい泡がスーッと立ち上り、持続性があります。そして口に含んだ際、溶け込んでいる泡の品質が高いと「クリーミー」に感じるような心地よい繊細さをテクスチャーとして感じます。

逆に安価なスパークリングワインであれば、泡の質が劣り、荒々しい泡のテクスチャーを感じます。ワインへの溶け込み方も荒いので、泡自体もすぐに抜けてしまい、持続性もありません。

白、オレンジワイン

基本的に白葡萄品種から造られたワインですが、まれに黒葡萄品種の果皮の色素を入れずに造ったワインもあります。

白ワインは、果皮の浸漬(果汁に果皮を漬け込み色素などの要素を抽出すること)をほとんどせずに果汁に含まれるフレッシュで繊細なアロマを大切にして造られます。白葡萄の品種ごとが持つアロマの特徴が味わいに大きく出てきます。

オレンジワインは、先ほどの「果皮の浸漬」を行い、果皮に含まれる色素やタンニンなどの渋み成分なども、果汁に抽出してワインを造ります。そのため、白ワインよりも味わいは濃く・重くなり、果皮由来のタンニンの渋味も感じます。わかりやすいのは「緑茶に含まれるカテキンの渋味」に近いようなニュアンスがあります。

すこし突っ込んだリストに入れておりますが、味わいの要素に大きく影響するのが、「樽の香り」です。

特に価格帯の高い「シャルドネ」の白ワインによく見られますが、「新樽(未使用の状態のワイン熟成用木樽)」の使用比率が何%かという点を気にしておくことは大切です。100%であればもちろん「しっかりとした樽の香り」がワインの味わいに影響を与えており「バニラ、ココナッツ、トースト、コーヒー、ダークチョコレート、タバコ、スモーク」などの香りを感じやすいと言えます。

ロゼ、赤ワイン

黒葡萄品種を用いて造ったワインです。

黒葡萄品種の果皮を浸漬して、色素を抽出することでワインに赤色がつきます。ロゼはその抽出量が弱めで、渋味の要素は少なめだと思っておいてください。華やかな果実味と色合いを楽しむワインです。南フランスのプロヴァンスなどのリゾート地ではバケーションの定番です。キリっと冷やした辛口のロゼワインは、様々な料理に相性良く、特に地中海の海産物には抜群ですね。

赤ワインも見た目の要素は重要です。色が濃い赤ワインは「色素量が多い黒葡萄品種を使っており、味わいも凝縮感のある濃いイメージ」、色の薄い赤ワインは「色素量の少ない黒葡萄品種を使っており、味わいはより華やかで繊細なイメージ」と思っておいても構いません。

しかし醸造の仕方によって、また熟成状態によっても色素量は変わってきます。そのため、突っ込んだリストに書いてある「ヴィンテージ」なども照らし合わせながら「1992年」で「この葡萄品種」で「この色合いの熟成状態」だから「タンニンはこなれて、丸みを帯びているだろうな。買ったらすぐに飲んだ方が良いだろうな。デカンタージュはしなくても良さそうだな。」なんて思いながらソムリエさんはワインを買ってますかね。

少し脱線してしまいますが…正直なことを言うと、サカナはよく「グレートヴィンテージ」などの「この年の葡萄の出来は素晴らしいから、ワインもすごい」という見方を全くしていません。頭にその年の各地域の天候の状況まで把握しきれないですし、何より優良な生産者さんであれば「どんな年であっても(2021年のブルゴーニュは遅霜の被害が甚大ではなく大変そうですが…)確実に美味しくワインを仕上げます!」と知っています。

だいたい難しい年と言われるのは、天候不順で葡萄の収量が減っていたり、収穫時に雨が降ってしまい収穫のタイミングが理想的ではなかったりといった具合です。しかしそのような年は、「自然に収量制限ができ、それぞれの葡萄のポテンシャルを引き出した醸造をした」、「糖度が上がりきらず、酸度が高めだったが、マロラクティック発酵により、繊細な果実味とうまくバランスの取れたワインに仕上げるよう心掛けた」など、熟練の醸造テクニックにより必ず美味しく仕上がります。ワインは各年によって味わいが違っても「テロワール(その土地らしさ)」として許されるお酒です。その違いを楽しむということが逆にワインらしさでもあります。

なので、サカナは「熟成状態を図るものさし」としてヴィンテージを見ていますが、「良し悪し」を気にしてヴィンテージを見ません。あくまでも個人的な意見なので、ご参考までに。

葡萄に限らず、果実は果皮のすぐ内側に多くの要素を持っていると言われます。そのため、赤ワインにおいては、果皮を浸漬する工程を必ず踏むので、より各葡萄品種の特徴が如実に現れます。葡萄品種ごとの味わいの特徴を知っておくということがとても重要なのです。

甘口、辛口

食事と一緒にワインを楽しむ場合は、基本的に辛口ワインを選んでください。

ここで言う甘口・辛口は、ワインの中に残る「残糖量」を意味します。フルーティーな香りが甘く感じても、それは品種の個性であるためワインの「残糖量」がほとんどなければ「辛口」となります。

スパークリングワインにはこの残糖量の基準となる言葉が明記されていることが多いかと思いますが(Brut(ブリュット)などの表記)、基本的にスティルワイン(発泡性のないフツーのワイン)には表記はほぼありません。その時に基準にしてほしい目安のコツがあります。

それは「アルコール度数」です。

アルコールは、葡萄果汁がアルコール発酵する際に、糖分をエサとしています。つまり、糖分がアルコールに変換されているということです。

葡萄の糖度は、もちろん各年によって上下しますが、ある程度決まっています。そして貴腐ワインやアイスワイン、陰干し葡萄にしたりするなどの特別な醸造方法でなければ、基本的にMax15%くらいが葡萄の糖度を全てアルコール変換したときの値であると覚えておいてください。

白ワインはフレッシュさを大切にするので糖度より酸度を優先することが基本多いので、ワインのアルコール度数が大体11~13%の間であれば、しっかり辛口。8~10%くらいで、やや辛口。7%以下は、割と甘さを感じると思っておいて構いません。

赤ワインは品種によって優先する味わいのイメージは異なりますが、熟度を大切にするので白ワインよりは糖度が高いイメージ。そのため、ワインのアルコール度数が11.5~15%でしっかり辛口。8.5~10.5%くらいでやや辛口。8%以下は割と甘さを感じるかも。ってイメージです。

最近は裏ラベルに、甘口のチャートが書いてあるものも多いので、そちらも参考にしてみてください。ただし、実際に飲んでみると、結構自分のイメージとずれていたりするので、鵜吞みにせずにあくまでも参考までにって感じです。人によって感じ方は違いますし、ワインはあくまで嗜好品ですから(笑)

代表的な葡萄品種(国際品種)

ワイン専門家であるカレン・マクネイルは国際品種を「古典的な品種」、すなわち世界中で高品質のワインが作れるという評判を長い時間をかけて確立してきた品種であるとしている。国際品種の多くは起源を辿るとフランスに至るが、まさしくフランスは世界中のブドウ栽培とワイン作りの考え方に、長きにわたって影響を与えてきたのである。マクネイルが挙げる9つの国際品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、シュナン・ブラン、メルロー、ピノ・ノワール、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、シラーである。

国際品種 – Wikipedia

フランスを中心とした歴史の深いヨーロッパのワイン産地を「旧世界」と呼んだりしますが、フランス原産のワイン用葡萄品種は長い歴史の中で、ワイン用葡萄の栽培・醸造・ポテンシャルを確立させてきました。「この葡萄品種は、こんな地域の特性で栽培適性があって、高品質になりやすい」などの研究データを蓄積してきたのです。

そして、そこから世界中に広まって、比較的ワイン醸造の歴史の浅い国々(「新世界」とこちらは呼びますが)で多く栽培されている葡萄品種を「国際品種」と呼んでいます。それが引用にある品種です。

ここではそれぞれの特徴について書くのは割愛しますが、気になる方はサカナの著書「ワイン飲むなら、とりあえずコレだけ読んどけば?」に体系的にまとめてありますし、ググってみれば様々な情報が出てきます。

ワインの種類の違いが理解できて、甘口・辛口のスタイルの違いが定まったら、あとは品種ごとの特徴を当てはめてみる。それで大体のワインの味わいのイメージは完成します。

世界に数多くある葡萄の中でも「国際品種」は全世界多くの地域で栽培されています。そこにテロワールと呼ばれる気候や土壌、自然環境や造り手の要素が加わって個性が出てくるといったイメージです。

そのため各葡萄品種ごとの味わいの特徴を知っておくことは非常に重要です。

予算

ぶっちゃけて言うと、超高級ワインは言ってみれば「ブランド品」と同じです。もちろん品質は抜群ですし、その土地でしか造れない唯一無二の長い歴史を包括する葡萄を贅沢に用いて、最上級の醸造家がそのポテンシャルを最大限に引き出して造り上げる最高傑作です。しかしながら、コマーシャル的な要素が多分に含まれていることも事実。みんなの憧れの存在という需要に対しての供給の薄さという希少価値も相まって、価格は吊り上がっていきます。

なので、一旦超高級ワインは忘れましょう(笑)。もちろん飲む機会があればチャンスは逃してはいけません!

美味しいワインを飲もうと思う場合、「外れの少なくコスパの良さを感じる」という点が一番重要かと思います。その点に焦点を当てた時に買うべきワインの価格帯は、

3,000円台~7,000円台で十分です。

この値段の価格帯であれば、基本的に栽培~醸造に至るまで、品質を意識したしっかりとした造り方をしています。果実味や酸度、タンニン分、ほのかな苦味、余韻の長さ、バランスの良さどれも及第点は取れます。

世間でも広く知られる有名どころのワインが大体8,000円台~増えてきますので、「このワイナリーのワインが飲みたい!」と引き込まれるような誘惑を感じた時に手を出すくらいで良いと思います。もちろん、ワインに割く予算がたんまりある方はどんどん美味しいワインを飲んでくださいね。

極論ワインは実際に飲んでみないとわからない

その他にも細かいことを言えば、様々な情報を知っておけば役に立つこともありますが、結局は机上の空論。ワインは実際に開けてみて飲んでみなければ実際のところわかりません。

しかし、基本的な情報を頭に入れておけば、「こんなワインが飲みたい」という方向性からずれることがなくなっていきます。ワインの経験値や知識が増えていけば、よりその精度は高まっていきます。

そして飲んでみたワインが完璧にイメージ通りだったらどうでしょう?つまんなくないですか?

味わいの方向性が間違っていない中に、自分の予想を上回る複雑さ、心地よさ、美味しさ、幸福感などが含まれるとき「良いワイン買ったな~」となるはずです。ワインにはその面白さ・楽しさがあります。

そんなワインとの一期一会の出会いをぜひ楽しんでいただきたいと思います。

最短でワインを買うためには、常駐スタッフに聞いてみよう

ワインの基本的な味わいのイメージが頭に入っていれば、常駐のスタッフさんやソムリエさんに「こんなワインが欲しいんですけど、おすすめありますか?」って聞いてみましょう!

ネットからの情報では知りえない裏情報や、実際にワインメーカーさんが来日してくれたときのリアルな話なんかが聞けて、ワイン選びに役立つだけでなく、購入後のワインを楽しむときのネタとして味わいの増す要素が増えることにもなりますよ!

味方にしておいて、損はないので、怖がらずに気軽に質問してみてくださいね♪

ちなみに!この1本だとワインを決めたら、一番前に並んでいるワインを手に取らずに、1本後ろのワインを購入しましょう。ワインは光にさらされても成分が変化してしまい劣化に繋がってしまう可能性が上がるので、気持ち後ろに隠れていたものを実際に購入すると良いでしょう。もちろんラベルが剥げていなかったり、変なシミがついてなかったりするのも大事です。覚えておいてくださいね!


それではまた次回をお楽しみに~🐟🍷


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